相続税の計算方法は?自分でできる手順と目安
この記事の要点
- 相続税は遺産総額から基礎控除を引いた額に段階税率をかけて算出する
- 基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人数で計算できる
- 小規模宅地等の特例などで評価額が50〜80%程度減る場合がある
相続税はどう計算する?まず結論から
相続税は「遺産総額から基礎控除額を差し引いた金額」に税率をかけて計算します。基礎控除は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で決まるため、相続人が多いほど非課税の範囲が広がります。この記事では計算の手順を順を追って説明し、自分でおおよその税額をつかむ方法を紹介します。最終的な申告額や特例の適用可否は、国税庁の資料や税理士への相談で確認してください。
相続税の計算式の全体像
相続税の計算は大きく分けて次の4ステップで進みます。
- 遺産総額(プラスの財産からマイナスの財産を差し引いた額)を出す
- 基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算する
- 課税遺産総額を法定相続分どおりに分けたと仮定し、各人の取得額に税率をかけて相続税の総額を出す
- 相続税の総額を実際の取得割合で按分し、各種控除・加算を反映する
この4ステップのうち、特に間違えやすいのが1番目の「遺産総額」の算定です。預貯金や不動産だけでなく、生命保険金(非課税枠を超える部分)、死亡退職金、過去3〜7年以内の贈与財産なども加算対象になる場合があります。これらを見落として過少申告になるケースがあります。

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基礎控除額は次の式で求めます。
- 3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば法定相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」です。遺産総額がこの金額以下であれば、原則として相続税はかかりません。
ここで注意したいのは「法定相続人の数」には、相続放棄をした人も含めて数える点です。放棄した人がいるからといって控除額が減るわけではありません。また養子がいる場合は、実子がいれば1人まで、実子がいなければ2人までしか基礎控除の計算に含められないという制限があります。
相続税率の仕組みと具体例
課税遺産総額を法定相続分どおりに分けたと仮定し、それぞれの取得金額に応じた税率をかけます。税率はおおむね10%から55%の範囲で段階的に上がる超過累進課税です。取得金額が1,000万円以下なら10%、1,000万円超3,000万円以下なら15%(控除額50万円)というように、金額帯ごとに税率と控除額が定められています。正確な税率表は国税庁の公表資料で確認できます。
計算例
遺産総額が1億円、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人のケースを考えます。
- 基礎控除額:3,000万円+600万円×3人=4,800万円
- 課税遺産総額:1億円-4,800万円=5,200万円
- 法定相続分で分けると、配偶者2,600万円、子はそれぞれ1,300万円
- 配偶者分:2,600万円×15%-50万円=340万円
- 子1人分:1,300万円×15%-50万円=145万円(2人分で290万円)
- 相続税の総額:340万円+290万円=630万円
ここからさらに、配偶者の税額軽減(配偶者が取得した財産が1億6,000万円または法定相続分相当額以下なら非課税)などの特例を適用すると、実際の納税額は下がる場合があります。このため総額630万円がそのまま納税額になるとは限りません。
失敗しやすいポイント
相続税の計算でつまずきやすい点をいくつか挙げます。
- 不動産の評価額を時価と混同してしまう:相続税における土地の評価は路線価方式や倍率方式を用いるため、市場の売買価格とは一致しません
- 生命保険金の非課税枠(500万円×法定相続人の数)を使わずに全額を遺産総額に計上してしまう
- 葬式費用や借入金などの債務控除を反映し忘れる
- 小規模宅地等の特例の要件を満たしているのに申告書に反映しておらず、税額を多く見積もってしまう
特に小規模宅地等の特例は、適用できれば評価額を50%〜80%程度減額できる場合があり、適用の有無で納税額が大きく変わります。要件は細かく定められているため、自己判断せず税理士や国税庁の資料で確認することをおすすめします。
自分で計算する場合の限界
ここまでの手順で、相続税のおおよその金額感はつかめます。ただし次のようなケースでは、自分だけでの計算が難しくなります。
- 不動産が複数あり評価方法が複雑な場合
- 非上場株式を保有しており評価額の算定が必要な場合
- 生前贈与の精算課税や暦年課税の扱いが絡む場合
- 相続人の間で遺産分割協議がまとまっていない場合
これらに該当する場合は、概算をつかんだ段階で税理士に相談し、正式な申告書の作成を依頼する流れが現実的です。相続税の申告期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内と定められており、期限を過ぎると延滞税などが発生する可能性があります。申告・納税に関する基本情報は国税庁で確認できます。
まとめ
相続税は「遺産総額-基礎控除額」に税率をかけて計算し、各種控除や特例を反映して最終的な納税額が決まります。基礎控除額は法定相続人の数で変わり、税率は取得金額に応じた超過累進課税です。自分で概算を出すことはできますが、不動産評価や特例の適用判断は専門知識が必要になる場面が多いため、金額が大きくなりそうな場合や財産構成が複雑な場合は、早めに税理士へ相談することをおすすめします。
最終確認日:2026年1月
よくある質問
- Q. 相続税の基礎控除額はどう計算しますか?
- A. 「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。例えば相続人が3人なら4,800万円が基礎控除額となり、遺産総額がこれ以下なら原則として相続税はかかりません。
- Q. 相続税の申告はいつまでにすればよいですか?
- A. 相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税を行う必要があります。期限を過ぎると延滞税などが発生する可能性があるため、早めの準備が重要です。
- Q. 土地の評価額は時価と同じですか?
- A. 同じではありません。相続税の土地評価は路線価方式や倍率方式に基づいて算定されるため、実際の市場価格とは異なる場合があります。詳しい評価方法は国税庁の資料で確認できます。



