
建設工事請負契約書の印紙税額一覧!2026年最新の軽減措置と貼り方
この記事の要点
- 2026年3月31日までの建設工事請負契約には印紙税の軽減措置が適用される。
- 消費税額を明確に区分記載することで、税抜価格を基準に印紙税額を判定できる。
- 電子契約を導入すれば、建設工事請負契約書の印紙税は非課税となり大幅に節税できる。
建設工事請負契約書を作成する際、契約書に貼るべき収入印紙の金額は、契約書に記載された請負金額(税抜価格)によって決定されます。2026年(令和8年)3月31日までに作成される建設工事の請負契約書には軽減措置が適用されるため、通常の印紙税額よりも引き下げられた税額が適用されます。
建設業に携わる事業者や、自宅の新築・リフォームを控えた個人にとって、印紙税の正しい知識は不要なペナルティを防ぎ、コストを最適化するために不可欠です。本記事では、最新の印紙税額一覧から、どちらが費用を負担すべきかという実務上の疑問、さらに印紙代を適法に削減する具体的な方法まで詳しく解説します。
建設工事請負契約書の印紙税額一覧【2026年最新】
建設工事請負契約書は、印紙税法上の「第2号文書(請負に関する契約書)」に該当します。現在、一定の要件を満たす建設工事請負契約書については、印紙税の軽減措置が講じられています。
軽減税率と一般税率の比較表
軽減措置の対象となるのは、契約書に記載された請負金額が1,000万円を超えるものです。具体的な税額は以下の通りです。金額に幅があるため、自社の契約書がどの区分に該当するか正確に確認してください。
| 契約書に記載された請負金額 | 通常の税額(一般税率) | 軽減措置適用後の税額 |
|---|---|---|
| 1万円以上 100万円以下 | 200円 | 200円(軽減なし) |
| 100万円超 200万円以下 | 400円 | 400円(軽減なし) |
| 200万円超 300万円以下 | 1,000円 | 1,000円(軽減なし) |
| 300万円超 500万円以下 | 2,000円 | 2,000円(軽減なし) |
| 500万円超 1,000万円以下 | 10,000円 | 10,000円(軽減なし) |
| 1,000万円超 5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超 1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
| 1億円超 5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
| 5億円超 10億円以下 | 200,000円 | 100,000円 |
| 10億円超 50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
| 50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
※契約金額が1万円未満のものは非課税となります。最新の法改正情報や詳細な税務判断については、国税庁の公式情報をあわせてご確認ください。
軽減措置が適用される期間と対象契約
この軽減措置は、2026年(令和8年)3月31日までに作成される「建設業法第2条第1項に規定する建設工事の請負に係る契約書」に適用されます。新築工事だけでなく、増改築やリフォーム、電気設備工事、外構工事などの請負契約も対象に含まれます。
印紙税額を判定する際の注意点
契約書に記載された金額の捉え方によって、貼付すべき印紙の額が変わるケースがあります。特に消費税の扱いには注意が必要です。
消費税額の記載による金額判定の変化
契約書の中に「消費税額等」が明確に区分されて記載されている場合、または「税込価格」と「税抜価格」の両方が記載されている場合は、消費税額等を除いた「税抜価格」を基準にして印紙税額を判定できます。
- パターンA(税抜価格で判定可能)
- 「工事請負金額 1,100万円(うち消費税等100万円)」と記載されている場合
- → 記載金額は「1,000万円」となり、印紙税額は10,000円ではなく、軽減措置対象外の区分(1,000万円以下)として10,000円(または通常税額が適用される範囲)となります。※この例では1,000万円以下のため10,000円です。
- パターンB(税込価格で判定される)
- 「工事請負金額 1,100万円(税込)」とのみ記載されている場合
- → 消費税額等がいくらであるか明確に区分されていないため、記載金額は「1,100万円」とみなされます。この場合、1,000万円を超えるため軽減税率が適用され、印紙税額は10,000円となります。
このように、書き方ひとつで印紙税額の区分が変わり、数千円から数万円程度の差が生じるケースがあります。
契約内容の変更に伴う変更契約書の扱い
当初の契約後に工事内容が変更になり、追加工事や減額が生じた場合に変更契約書を交わすことがあります。この場合の印紙税額は以下のように計算します。
1. 契約金額が増加する場合:増加する金額(差額)を記載金額として印紙税額を判定します。
2. 契約金額が減少する場合:記載金額は「なし」とみなされ、一律200円の印紙が必要となります(ただし、当初の契約書を変更することが明らかである場合に限ります)。
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印紙は単に契約書に貼るだけでは納税したことになりません。適切な方法で消印(割印)を行う必要があります。
貼る場所と消印の手順
1. 貼付位置:契約書の1ページ目、一般的にはタイトル(建設工事請負契約書など)の左上や右上の余白部分に貼付します。複数部作成する場合は、原本すべてに貼付する必要があります。
2. 消印(割印)の実施:印紙と契約書の用紙にまたがるように、印鑑を押すか、または署名をします。これは印紙の再利用を防ぐための法的な義務です。
消印に使用する印鑑は、契約書に捺印した「実印」や「丸印」でなくても構いません。担当者の認印やシャチハタ、さらにはボールペンによる自筆の署名(サイン)でも有効と認められています。ただし、鉛筆など消えやすい筆記具での署名は認められません。
印紙を貼り忘れた場合のペナルティ(過怠税)
印紙を貼るべき契約書に印紙を貼っていなかったことが税務調査などで発覚した場合、ペナルティとして「過怠税」が科されます。
- 自主的に申し出た場合:本来納めるべき印紙税額の「1.1倍」の金額が徴収されます。
- 税務調査等で指摘された場合:本来の印紙税額に加え、その2倍に相当する過怠税が科されるため、結果として当初の「3倍」の金額を支払わなければなりません。
- 消印を怠った場合:印紙自体は貼ってあっても消印がされていない場合は、消印されていない印紙の額面と同額(1倍)の過怠税が科されます。
なお、これらの過怠税は税法上「損金(経費)」として算入することができません。実質的なキャッシュアウトとして大きな損失となるため、貼り忘れや消印漏れには細心の注意を払いましょう。
契約書の印紙代はどちらが負担すべきか?
実務において「発注者と施工業者のどちらが印紙代を支払うべきか」という疑問がよく生じます。印紙税法上は「契約書を作成した人(共同で作成した場合は全員)」が連帯して納税する義務を負うと定められています。
連帯債務と実務上の一般的な対応
基本的には、契約書を2通(発注者用・施工業者用)作成し、双方がそれぞれ1通ずつ保管する場合、各自が保管する契約書に貼る印紙代をそれぞれが負担する(折半する)ケースが一般的です。
しかし、契約のパワーバランスやこれまでの取引慣行により、一方のみが全額負担する取り決めがなされることもあります。どちらが負担するかは当事者間の合意によって自由に決めることができるため、契約締結前にあらかじめ確認しておくことがトラブル防止につながります。
印紙代を削減するための具体的な方法
建設工事請負契約書に付随する印紙代は、件数や金額が増えるほど企業の資金繰りを圧迫します。これを合法的に削減する方法がいくつか存在します。
1. 電子契約システムを導入する(最も効果的)
印紙税は「書面(紙)」として作成された課税文書に対して課される税金です。そのため、インターネット上で契約を完結させる「電子契約」を利用する場合、印紙税は一切かかりません。これは国会答弁や政府の見解でも明確に示されています。
数千万円から数億円規模の工事を多く手がける建設業者にとって、電子契約への移行は年間で数十万円から数百万円程度におよぶ印紙代の削減に直結します。また、郵送代や封入作業の人件費、保管スペースの削減といった副次的効果も期待できます。
2. 契約書の作成部数を1通にする
通常は発注者用と施工業者用で2部作成しますが、これを「1部のみ」作成し、原本をどちらか一方が保管、もう一方はそのコピー(写し)を保管するという方法があります。
コピー自体には原則として印紙税は課されません。ただし、コピーであっても「所持者の署名捺印があるもの」や「原本と相違ないことを証明する文言が記載されているもの」は、実質的に契約を証明する文書(課税文書)とみなされ、印紙が必要になる場合があるため注意してください。単なる白黒コピーを控えとして持つだけであれば、1通分の印紙代を削減できます。
まとめ
建設工事請負契約書の印紙税は、2026年3月31日まで軽減措置が適用されており、1,000万円を超える契約において税負担が軽減されています。消費税額の記載方法を工夫することで、適用される税額区分を下げられる場合があるため、契約書のフォーマットを見直す価値は十分にあります。
印紙の貼り忘れや消印漏れは、最大3倍の過怠税という重いペナルティにつながるため、社内のダブルチェック体制を整えることが重要です。さらに、中長期的なコスト削減を目指すのであれば、印紙税が非課税となる電子契約の導入を前向きに検討してみてはいかがでしょうか。具体的な契約書の文面や個別の税務判断に迷う場合は、事前に税理士や管轄の税務署へ相談することをおすすめします。
よくある質問
- Q. 注文書や請書にも印紙を貼る必要がありますか?
- A. はい、注文書と請書のやり取りであっても、それによって契約が成立することが証明されるため、請書側(または双方)に契約金額に応じた印紙の貼付が必要になります。
- Q. 印紙を貼り間違えてしまった場合、払い戻しはできますか?
- A. はい、過大に貼り付けてしまった場合や、不要な書類に貼ってしまった場合は、税務署に「印紙税過誤納確認申請書」を提出することで、還付(払い戻し)を受けることができます。
- Q. リフォーム工事や外構工事の契約書も軽減措置の対象ですか?
- A. はい、新築工事だけでなく、増改築、リフォーム、電気工事、外構工事など、建設業法上の建設工事に該当する請負契約であれば軽減措置の対象となります。



