相続税対策で株式を使う方法と注意点【2026】
この記事の要点
- 上場株式は4基準の最安値で評価額が決まる仕組み
- 非上場株式は評価方式の違いで数百万円以上差が出うる
- 生前贈与は年110万円非課税枠と精算課税制度の比較が鍵
相続税を株式で節税できるのか、結論から答えます
相続税の節税に株式を活用する方法はありますが、株式そのものに特別な非課税枠があるわけではありません。生前贈与の非課税枠や評価額の変動タイミングを利用することで、結果的に納税額を抑えられる可能性があるという位置づけで理解しておく必要があります。
なぜ「株式×相続税」が節税の話題になるのか
現金や不動産と並んで、株式は相続財産の中でも評価額の算定方法が複雑な資産です。上場株式であれば「相続開始日の終値」「その月の終値平均」など複数の基準から最も低い価額を選べる仕組みがあり、非上場株式は会社の規模や業績によって評価方法が大きく変わります。この評価の仕組みを理解しているかどうかで、同じ株式を相続しても税負担に差が出ることがあります。
上場株式の評価額は4つの基準から最も低いものを選べる
上場株式の相続税評価額は、以下の4つのうち最も低い金額で評価されます。
- 相続開始日の終値
- 相続開始月の毎日の終値の月平均額
- 相続開始前月の終値の月平均額
- 相続開始前々月の終値の月平均額
株価が一時的に急騰しているタイミングで相続が発生した場合でも、過去2〜3カ月の平均値まで遡って低い方を選択できるため、結果的に評価額を抑えられるケースがあります。ただしこれは制度上の計算ルールであり、意図的に相続日を選べるものではない点に注意が必要です。
非上場株式(自社株)は評価方式で数百万円単位の差が出ることがある
中小企業のオーナーが保有する自社株式は、会社規模に応じて「類似業種比準方式」「純資産価額方式」またはその併用で評価されます。類似業種比準方式は業界平均の株価をもとに算定するため、利益を圧縮している年度であれば評価額が下がりやすく、純資産価額方式は会社の資産そのものを基準にするため含み益の大きい資産を持つ会社では評価額が高くなりやすい傾向があります。どちらの方式が適用されるかで、最終的な評価額に数百万円から数千万円程度の差が生じることもあるため、事業承継を見据える経営者は早めの試算が重要です。

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相続発生前に株式を贈与しておく方法も検討されます。代表的な制度は次の2つです。
暦年贈与(年間110万円の非課税枠)
毎年110万円までの贈与は贈与税がかかりません。株価が低いタイミングで複数年に分けて贈与すれば、将来値上がりする可能性のある株式を低い評価額で移転できる可能性があります。ただし相続開始前一定期間内の贈与は相続財産に加算されるルールがあるため、「駆け込みで贈与すれば安心」という考え方は成立しません。
相続時精算課税制度
累計2500万円までの贈与が非課税になり、超えた部分は一律20%課税となる制度です。2024年以降は年110万円の基礎控除も併用できるようになりました。将来値上がりが見込まれる非上場株式などを早めに移転する場合に検討されますが、一度選択すると暦年贈与には戻せない点や、将来株価が下落した場合は贈与時の高い評価額のまま相続税が計算されてしまう点がデメリットとして挙げられます。
失敗しやすいケース
株式を使った相続対策では、次のような失敗につながりやすいケースがあります。
- 含み益の大きい株式をそのまま贈与し、受贈者が売却した際に多額の譲渡所得税が発生したケース
- 自社株の評価額を下げる目的で一時的に利益を圧縮したが、結果的に金融機関からの評価や資金繰りに影響が出たケース
- 相続時精算課税制度を選択した後に株価が大きく下落し、相続税の計算上は贈与時の高い評価額が適用されてしまったケース
いずれも「評価額を下げること」だけに注目し、贈与後の税負担や経営への影響まで見通せていなかったことが原因になっています。
納税資金の確保という視点も欠かせない
相続財産が自社株や上場株式に偏っている場合、相続税は現金一括納付が原則であるため、納税資金が不足する事態が起こり得ます。物納や延納といった制度もありますが、要件は厳格で誰でも利用できるわけではありません。株式を保有したまま相続させるのか、一部を現金化しておくのかは、節税効果だけでなく納税のしやすさという観点からもあわせて検討する必要があります。
制度の正確な内容は公式情報で確認する
相続税の評価方法や贈与の非課税制度は改正が繰り返されており、適用時期や細かな要件によって結果が変わります。最新の制度内容は国税庁の公式情報で確認し、具体的な試算や申告については税理士など専門家に相談することをおすすめします。
まとめ
株式を使った相続税対策には、上場株式の評価基準を利用する方法、非上場株式の評価方式を踏まえた事業承継対策、生前贈与の非課税枠を活用する方法などがあります。いずれも評価額の仕組みを正しく理解したうえで、納税資金の準備や将来の株価変動リスクまで含めて検討することが重要です。制度の詳細や個別の判断は、公式情報の確認と専門家への相談を前提に進めてください。
よくある質問
- Q. 株式を相続すると必ず相続税がかかりますか?
- A. 相続財産の合計額が基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合に相続税の対象となります。株式単体で非課税になる特別な制度はありません。
- Q. 生前に株式を贈与すれば相続税は必ず減りますか?
- A. 評価額が低いタイミングで贈与できれば税負担を抑えられる可能性はありますが、相続開始前一定期間内の贈与は相続財産に加算されるルールがあり、必ず減るとは限りません。
- Q. 非上場株式の評価額はどこで確認できますか?
- A. 会社の規模や業績により評価方式が異なるため、税理士に依頼して類似業種比準方式や純資産価額方式に基づく試算を行うのが一般的です。



